【新刊のお知らせ】『憎悪の広告』(能川元一さん+早川タダノリ)合同出版から2015年8月下旬刊行

新刊のお知らせです。 能川元一さんと早川タダノリの共著『憎悪の広告』を、合同出版から2015年8月下旬に刊行します。 さまざまなメディアで流され、私たちの生活のなかで「慣らされてきた」、「愛国」&「嫌中・嫌韓」イデオロギー。1993年の「朝鮮半島危機…

集団疎開のための幼児の訓練(『婦人之友』昭和19年10月号)

学童疎開は昭和19年8月から開始される。対象は国民学校生徒だったが、幼児の集団疎開事例があったことも報道されている。『婦人之友』誌では幼児もまた疎開が開始される可能性があることに鑑み、自由学園の「幼児生活団」に所属する5歳から7歳までの約40…

「婦人ザッシ隣組回読についてお願ひ」

古書店で購入した『婦人倶楽部』昭和19年5月号に、こんなチラシが貼り付けてあった。 決戦下での雑誌回し読みについては、山中恒さんの『ボクラ少国民』をはじめ、当時の回顧録で多数目にすることができるが、町の本屋さんが顧客にお願いしているチラシは初…

海外にはばたく「大東亜就活」

昭和十九年版『毎日年鑑』によれば、海外在留邦人人口は、関東州:136万7234人、南洋群島:13万1157人に及んだ。 「すすめ一億火の玉だ」と言われる1億人余りの日本人のうち、実に150万人弱の人口が、本土から海外に進出していたということになる(『毎日年…

『婦人公論』の童貞狩り

古新聞をめくっていたら、盧溝橋事件直後の『婦人公論』誌の広告にこんなのがあった。 東京朝日新聞 昭和12年7月16日付 「貞操と犯罪」号と銘打たれたこの号には「同性愛心中の秘密」「春の目覚めと少年の犯罪」「貞操危険信号」(なかなか秀逸な小見出し)…

「私は貝になりたい」の原作部分

映画やドラマになった「私は貝になりたい」だが、紆余曲折を経てその「原作」とクレジットされるに至った、加藤哲太郎による「遺書」が掲載された『あれから七年――学徒戦犯の獄中からの手紙』(飯塚浩二編、光文社、1953年)を入手した。加藤は本書で「志村…

新しい本ができました――著者からのご案内

このたび3冊の本を出しました。ホントはもっと早く出せたのですが、いろいろと大人の事情で刊行が伸びているうちに、なんともタイミングよく揃うことになりました。 「愛国」の技法: 神国日本の愛のかたち作者: 早川タダノリ出版社/メーカー: 青弓社発売日:…

お子様向け日本軍大活躍「過激描写」画像

話題の「はだしのゲン」、作中の「過激な描写」に「簡単に子供が閲覧できる状況にしてほしくなかった」という松江市教委福島律子前教育長の言葉をニュースで拝見しました。 著者の故中沢啓治さんが、表現上の工夫や配慮をこらして描こうとした内容にあえて触…

美談「日の丸おぢいさん」

鹿児島市草牟田尋常小学校が、昭和13年8月に生徒向け副読本として作った『軍国に咲いた花 少年少女たちにおくる支那事変の読物』に、こんなエピソードが収められていました。 『やあ日の丸おぢいさんが来た』 といふので、見ると、向ふから国旗をかついだお…

安倍自民党政権下でのお年玉は!

よい子の諸君! 安倍自民党政権下で、お年玉をどうすればよいか、みんなわかっているよな! 『写真週報』288号(昭和18年9月8日) 貯へて 国の力になるといふ ありがたき貯金 たゞはげむべし土屋文明 作

軍国美談「日の丸の力」

『昭和15年度 夏季学習帳』神奈川県教育会発行 敵陣に忍び込んだ日本兵が、密かに「支那の国旗」のかわりに「日の丸」を旗竿に掲げる。すると、それを見た他の兵隊が「日の丸だ! 日の丸だ! 進め進め」と勇気百倍して敵陣に突撃、敵兵は一目散に逃げ出した―…

防諜――スパイに気をつけよう

陸軍省作成のパンフレット『防諜』に、当時の日本人が表象した「スパイ」像がわかりやすく描いてあった。このパンフレットは、右頁にイラスト+左頁に諜報の図解という構成となっていて、講師などが図解を見せながら説明していくことが前提で作られている。…

ブラジル勝ち組レコード屋の、不思議なレコード

ブラジル勝ち組機関誌『輝号』(復刻版、不二出版、2012年)を読んでいて、妙なことに気がついた。 同誌、昭和26〔1951〕年7月号から昭和28〔1953〕年2月号(=終刊号)まで、奥付横のページに、サンパウロにあった「遠藤兄弟商会」というレコード屋が、毎月…

辻政信への「死亡宣告」

『朝日新聞』1969年7月21日付けこの年、7月14日付けの官報で、辻政信の死亡が宣言された。法的な死亡日は、行方不明になって7年後の1968年7月20日となった。 この記事にある奥さんのコメントが、なかなかに趣き深い。 この8年間の苦労を考えると、とにかく…

決戦へ人馬一如のご奉公

日本放送出版協会『放送』昭和18年10月号表3広告 戦時下の競馬史については明るくないのですが、これまで何度か引用した萩野寛雄 「「日本型収益事業」の形成過程 :日本競馬事業史を通じて」第5章「競馬事業に見る戦時体制」 によれば、昭和18年12月の閣議…

この夏のおすすめ本いろいろ

しばらくブログの方はお休みしていましたが、ようやく再開です。現在進めている単行本企画にまつわる資料など、数年ぶりに集中して読書する機会があり、これはヨカッタという本をいくつかご紹介します。 ナチスのキッチン作者: 藤原辰史出版社/メーカー: 水…

「鉄石の意志を以って言論国防体制の完璧を期す」

『婦人倶楽部』昭和17年2月号いわゆる戦時下の出版弾圧史的観点からすれば、この有名な決議にいたるまでにいろいろと大人の事情があったことは承知していますが、いくら「奴隷の言葉」で書かれたものとはいえ、嬉々として音頭を取った野郎が多数いたことも事…

「反対するなら代案を出せ」でダメになってしまった運動

もはや死語となったが、かつて「同情するなら金をくれ」という流行語があった。これは簡単に言って「カネを出さないおまえに同情なんかされたくねえよ」という非常に甘えきった、拗ねた物言いなんだが、この語と前後してはやった「反対するなら代案を出せ」…

幻の原子力PRスライド「私たちの原子力」(文部省特選)

『原子力産業新聞』1958年9月25日付 このスライドは、流れるような音楽にのせて、あなたがたを、原子世界の旅にさそい、四〇分の旅を終えれば、だれでも原子の構造や原子力利用について、基礎的知識をつかむでしょう。 職場の教育に、学校の教材に、ぜひ御活…

[戦時下の通信講座]本当にあった妖しい通信教育グループ

今も昔も妖しい通信教育商売はたくさんありますが、クーリングオフとかでまがりなりにも消費者が保護されている今と違って、昔は完全に「自己責任」。こんなものをどうやって通信教育で取得するのか謎なものも含めて、機会を見て紹介していきます。 今回は『…

北原白秋、紀元二六〇〇年前後の作品集

墨水書房、昭和18年 古本屋で異常に遭遇回数の多いエッセイ集『随筆たぬき汁』を出していた墨水書房が、北原白秋の作品集を出していた。写真にあるように、『白秋I』とあるが、続刊は出なかったようだ。この作品集は、昭和8年から「北秋全集」構想の一環と…

公式見解

「虚構」で検索して「虚構の皇国blog」に来てくださった人から怒りの問い合わせDMをもらったので、野暮いけれども見解を表明します。某大手デジタル紙と違って、「虚構の皇国blog」は愛と真実でできています。《真理が我らを自由にする》《労働が我らを自…

原子力村のお姉様たち

2001年から2008年まで、原子力委員会は「市民参加懇談会」という公開ヒアリングを合計34回にわたって行った。 目的は、「「原子力政策の決定過程における市民参加の拡大を通じて、国民の理解をより一層促進するため」に、「原子力政策における市民参加の促進…

「ぜいたくは恥! 何も彼も買はぬが国策」

『婦人倶楽部』昭和15年11月号附録「和服洋服の繕ひ方長持ち法」表3広告 ぜいたくは恥! 何も彼も買はぬが国策 銃後の務め 古い衣服をみやこ染で 染替へて役立てませう 広告主の桂屋商店は、現在の桂屋ファイングッズ株式会社。今も東京日本橋小舟町にある…

幼い日の鶴見和子・俊輔姉弟

軽井沢で過ごす鶴見祐輔一家。一番左が俊輔氏、そのとなりが姉の鶴見和子氏。『婦人画報』昭和9年9月号より。 同じ号には軽井沢で過ごす尾崎行雄一家も載っていた。尾崎翁の愛娘、品江さんと雲香さん。サイドカーを駆るとは、あまりにもカッコよすぎる。

読んでみたいが、金をだして買いたくもない原発推進本5冊

ここ数カ月で、原発推進派の側からカウンター的にいろんな本が出てきた。とりあえず今のところ目についたものを挙げてみると――国を滅ぼす反原発ヒステリー―世界から見た日本の錯誤 (エネルギーフォーラム新書)作者: 一本松幹雄出版社/メーカー: エネルギーフ…

幻のパンフレット『右手にハンマー、左手に貯蓄』

『週報』ネタが続いて恐縮だが、昭和13年6月22日(第88号)の「官庁刊行物だより」から 1冊目、『貯蓄は主婦の手で』(国民貯蓄奨励局、国民精神総動員中央連盟)のコピーがすごい。 銃後の国民は女も子供も一人残らず武器を持たぬ兵士である。そして夫人の…

「支那事変」鹵獲品の青竜刀1万1950本はどこへ?

『週報』昭和13年7月13日(第91号)に、「支那事変鹵獲品調査票(6月30日調)」が載っていた。この中に、「青竜刀」1万1950本が記載されている。以前から『支那事変手柄話』などの絵本に出てくる国民党軍が、かならず青竜刀をふりあげているのを見て、…

硬教育

俗に月月火火水木金と呼ばれる海軍の猛訓練、猛教育を指したもので、平常から実戦の心構へで事に当るやう努力する教育。名提督山本五十六元帥も霞ヶ浦航空隊の副官時代から海鷲達にこの硬教育を施し、平時に於ても相当の死傷者を出した程だが、この教育法の…

『イタリアの女性とファシズモ』

永田町にある、真理が我等を自由にしてくれる殿堂に行ったら、こんなパンフがデジタル化されていた。『イタリアの女性とファシズモ』イタリア大使館情報官室、昭和16年2月。ファシスタ党婦人部とか、各種女性団体を平易に解説してくれているので便利。なかで…