新しい本ができました――著者からのご案内

このたび3冊の本を出しました。ホントはもっと早く出せたのですが、いろいろと大人の事情で刊行が伸びているうちに、なんともタイミングよく揃うことになりました。



「愛国」の技法: 神国日本の愛のかたち

「愛国」の技法: 神国日本の愛のかたち


 コンセプトは、「自称愛国者のみなさんに贈る、こうすればもっと気持ちヨクなる愛国活動」です。謝国権先生や奈良林祥先生の後塵を拝して、神国日本へのさまざまな「愛のかたち」を列挙しました。
 もちろん、実際のところ「愛国の技法」とは、要するに「有無をいわせぬ大義を振りかざして、思い通りに他人を支配する技術」のことなんです。幻想的な「国家との一体感」に安心立命を求めるのみならず、オレは「国家と一体」だから「オレに従え」という権力欲とワンセットになっているのが現代の「愛国心」なわけですね。
 それが現在において滑稽なのは、「有無を言わせぬ大義」だと思いこんでいるのが「愛国者」ご本人だけだ、というところなんですが、政権トップを筆頭に、そういう「愛国者」が増加しているのが問題だと思います。現在の状況の中で本書が出たことを、さまざまな方に「タイミングがいい」と評していただきましたが、なかなか心中複雑です。



原発ユートピア日本

原発ユートピア日本


 2冊めは、1950年代から今日までの、日本における原子力プロパガンダを集めた本です。
 プレスリリースでは、合同出版の女性編集者の方に「各年代を代表する、数々の「原発推進PR」を並べてみると、その知恵を絞った“傑作”の数々に思わず感心すらさせられると同時に、なぜ、こうまでして、繰り返し繰り返し繰り返し(大事なことなので3回言いました)「原発の必要性」を国民に刷り込む必要があったのか、その本当の目的はなんだったのか、疑惑を感じずにはいられません。事故や不祥事が起こった時にはおとなしく、人々が惨事を忘れると大胆に展開される――この繰り返しのパターンが見えてきます」と書いていただきました。まことにこれに尽きます。
 原子力PA(パブリック・アクセスタンス)をめぐっては、「原子力PA方策の考え方」(日本原子力文化振興財団原子力PA方策委員会報告書)』(1991年)という文書が暴露されています。チェルノブイリ後により洗練されたかたちに立てなおされた原子力PA方法論が、東海村JCO臨界事故や、2000年代に相次いだ全国の原子力発電所での事故隠しなどを経て、どのように現実化されていったのかをご覧いただきたいと思います。
 本書でしつこく取り上げた「「原子力の日」関連行事・広報」(発行:科学技術庁(当時) 製作:日本原子力文化振興財団)は、今のところかなり入手困難ではありますが、いずれ晒しアップしようと思っています。
 原子力発電所の問題に関心のある多くの方々に、本書を活用していただければ、と願っています。



神国日本のトンデモ決戦生活 (ちくま文庫)

神国日本のトンデモ決戦生活 (ちくま文庫)


 2010年に出した『神国日本のトンデモ決戦生活』がちくま文庫に収められました。これが3冊目です。最近は文庫化のペースが早いですねーと、自分でも驚いています。
 文庫化にあたって、いくつか誤植を訂正し、文庫版あとがきを追加しました。レイアウトがぎゅっと凝縮されたので、合同出版版よりも読みやすくなっています。前の版を電車で読んでいると周りの人にギョッとされましたが、今度は文庫版なので恥ずかしくありません! いくつかの図版は白黒にせざるをえませんでしたが、297頁で本体950円ですから、かなりお得ですね。
 なお、合同出版版もまだ販売中です。大きな画像でご覧になりたい方はこちらもどうぞ。

神国日本のトンデモ決戦生活―広告チラシや雑誌は戦争にどれだけ奉仕したか

神国日本のトンデモ決戦生活―広告チラシや雑誌は戦争にどれだけ奉仕したか

 

 こうして並べてみると、なんともディスユートピアな感じが香ばしいですが、実はぜんぶ現実のお話なのです。


 すでに次の本に向けて企画を練っています。次回もサービス…………であります。