硬教育

俗に月月火火水木金と呼ばれる海軍の猛訓練、猛教育を指したもので、平常から実戦の心構へで事に当るやう努力する教育。名提督山本五十六元帥も霞ヶ浦航空隊の副官時代から海鷲達にこの硬教育を施し、平時に於ても相当の死傷者を出した程だが、この教育法の精華は大東亜戦に赫々たる戦果として開花した。
硬教育の精神は日露戦争の終了後「勝つて兜の緒を締めよ」の名句で結ばれた東郷元帥の訓示の中に脈々と流れてをり、次のやうな一節が特に国民を感奮させた。曰く「武力なるものは艦船、兵器のみにあらずしてこれを活用する無形の実力にあり……惟ふに武人の一生は連綿不断の戦争にして、時の平戦に由りその責務に軽重あるの理なし。」
『大東亜時局語』朝日新聞社昭和19年

戸塚ヨットスクールの精神的源流ともいえる海軍式のスパルタ教育だが、私立巣鴨学園ではいまだに「硬教育」が教育理念として掲げられており、さらにそれを安岡正篤系の『致知』誌あたりが持ち上げていることに明らかなように、もはや自分が「硬教育」されるおそれがないような老人たちは、この手の調教プレイが大好きなようだ。
この記事では、「硬教育」が具体的にどんなことをするのか、いまひとつ定かではないのが残念。山本五十六霞ヶ浦航空隊の副官時代に「平時に於ても相当の死傷者を出した」とあるが、具体的に何人くらいなのかもわからなかった。詳しい方のご教示を待ちたい。