[戦時下の通信講座]本当にあった妖しい通信教育グループ

今も昔も妖しい通信教育商売はたくさんありますが、クーリングオフとかでまがりなりにも消費者が保護されている今と違って、昔は完全に「自己責任」。こんなものをどうやって通信教育で取得するのか謎なものも含めて、機会を見て紹介していきます。
今回は『家の光』昭和14年6月号で採集した「妖しい通信教育グループ」。


(1)東京市豊島区池袋二ノ一〇九八グループ

・日本鉄道受験会
・海軍受験研究社
・日本逓信受験会
帝国陸軍受験社
この四つの団体がぜんぶ同じ住所という、まあよくあるパターンですね。しかも案内文をよく読んでみると、提供しているのは「通信教育」ではなくて「受験案内」。無料提供の入り口はともかく、ここからどうやって儲けるのか興味津々です。


(2)東京市豊島区池袋二丁目ノ九八七グループ

さきの(1)グループと目と鼻の先にあったようですが、こちらは
・帝国無電通信学校
・旋盤工養成学会
・大日本鉄道協会
・帝国製図協会
と、上のものよりも名前的には規模が大きくなっています。扱うものも「無電技師養成講義」「旋盤工養成講義録」「鉄道員予備受験講義録」「製図工養成講義」と、誰が書いたのかわかりませんが「講義録」を売りつけるのが商売だった模様。だんだんリスキーになってきましたねえ。


(3)東京市巣鴨二ノ三五グループ

どうも池袋―巣鴨あたりに妖しい学校が多かったようですw
こちらは
・日本警務学会
・東洋鉄道学会
・大日本国防協会
・日本汽罐士養成協会
が、一カ所に大集合。広告のレイアウトセンスが他のところと同じなのが気になりますが、なんとなく棲み分けていたようですね。
それにしても、「巡査全国大募集」なんて、自分のところで募集しているわけでもないのに明らかにヒッカケで作っている広告ですね。この日本警務学会の広告文が泣かせます。

巡査志願者大募集中!
○時局不安、非常時日本の民衆保護者として目下満洲国はじめ全国各府県海外植民地巡査大募集中!
試験問題を基礎にした本会講義によれば受験必勝の実力を得て堂々一回の試験で合格す。
警察官は生活安定し出世の道は有望無限。ハガキで申込次第●講義見本●全国試験日割表●最近試験問題集●巡査受験案内を詳細に書いた内容見本を無代進呈す。

「出世の道は有望無限」とはすごい惹句ですが、やはり海外植民地巡査の受験も視野においていたのですね。無料進呈の「内容見本」も、微妙にカネがかかっていないサービスっぽくて興味深いです。