幻のパンフレット『右手にハンマー、左手に貯蓄』

『週報』ネタが続いて恐縮だが、昭和13年6月22日(第88号)の「官庁刊行物だより」から


1冊目、『貯蓄は主婦の手で』(国民貯蓄奨励局、国民精神総動員中央連盟)のコピーがすごい。

銃後の国民は女も子供も一人残らず武器を持たぬ兵士である。そして夫人の後方勤務は貯蓄と節約だ。それは家庭戦時会議にまつところが多い。といつた趣旨をかいたリーフレツト。

「家庭戦時会議」で小遣いの強制供出が要請されたりするんだろうなあ。かなりイヤな家族会議である。しかし、本当の愛国者になろうとしたら、このくらいやらなきゃ、だね。
ラストの「といつた趣旨をかいたリーフレツト」というフレーズは、ありえないほどの投げやり感が漂う。

2冊目、『右手にハンマー、左手に貯蓄』(同)は、なかなかに萌えるタイトルだが、国会図書館にすらない。「日本の古本屋」とかにも、この2冊はない。
唯一かすっているのが、防衛省防衛研究所に所蔵されている「貯蓄奬励に関する参考資料の件」(昭和13年6月)という文書で、これはアジア歴史資料センターからWEB上で閲覧できる。ちなみに、同文書には賀屋興宣パンフレット『貯蓄報国の途』がまるまる掲載されていた。http://bit.ly/xS3I6x
 このパンフレットはあまり珍しいものではないのだが。