タモ神閣下の『ほんとうは強い日本』ほか
日本経済新聞:
・3面の半五段広告にタモ神閣下の『ほんとうは強い日本』(PHP刊)の広告に爆笑。
私の知り合いで、来年定年を迎える東京電力の社員がいる。彼はかつて原発の現場で仕事をしていたが、今回の原発対応で再び原発の事故現場にとびこむことになった。多くの人が彼を止めた。もう十分東京電力で勤め上げ、すでに現場を離れているのだから、いまさら危険を冒して出かける必要はない、若い人たちに任せてはどうかということである。
しかし彼は次にようにいったという。
「私は東京電力の社員であったために、子ども二人を大学に入れてやることができた。自宅を構えることもできた。いま東京電力の命運がかかるこのときに、会社を見捨てて自分だけがいい思いをすることはできない」と。
彼は自ら志願して原発の現場へ入っていった。私はこれを聞いて涙がこぼれ落ちそうになってしまった。このような日本人の職人気質が強い日本をつくってきたのだ。そして、いまなお多くの日本人がこのような気質を保持し続けている。 (広告文より引用)
いささか眉唾ものの「原発美談」で、東電社員が入る「原発の現場」って、原発のどのへんまでなのよ?という拭いがたい疑問がふつふつと沸いてくる。百歩譲って、このエピソードがホントだったとしても、タモ神はまったくトンチンカンな方向で感涙にむせんでいると言わねばなるまい。
まずもってタモ神が指摘すべきなのは、タモの大好きな「国民としての自覚」「国家意識」を、この人物は徹頭徹尾欠落させていることだろう。いやいやもっと根源的には「多くの人に迷惑をかけてしまった」というきわめて基本的な「道義心」すら欠落させていることである。
件の人物が突き動かされているのは「東京電力の危機」にほかならず、「原発の現場」に舞い戻ったのは、社畜としてのご恩返しにほかならない。無反省にもほどがある。てめえが東電社員として誰の頭を踏みつけてきて、何をやらかしてしまったのかについての自覚もないまま、「子どもを大学にやれた」とか「自宅を構えた」とかといった小市民的生活にのみ拘泥するような、「歪んだ戦後教育がもたらした、自己中心主義的な人間」そのものじゃねえのかよっ。
しかもだ、これを「日本人の職人気質」などというのはやめてくれないかなあ。ほんとに職人だったら、こんなウソ・デタラメ・情報隠蔽・手抜きで建設された直輸入原発なんか建設するワケねえだろ。
とにかく、タモ神のダブルスタンダードにはあきれかえるが、それ以前に、危機を危機として総括もできず、一方的な思い込みで感涙にむせぶこいつの「危機管理能力」はゼロだな。これからこんなウンコのような震災美談を、出版業界はこれでもかこれでもかと量産していくんだろうな。
- 作者: 田母神俊雄
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朝日新聞:
みすず書房から、笠原嘉先生の本が出ていた。光文社新書『精神医療に葬られた人びと』とあわせて注文す。
- 作者: 笠原嘉
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読売新聞
2面全5段の岩波の広告で見つけた。微妙にあたりはずれがありそうで躊躇する。これは近所の図書館にリクエストかな。
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書評欄では『内村剛介著作集』と、坂本慎一『戦前のラジオ放送と松下幸之助』。後者はPHP刊ではなかったら、立ち読みもせずに買ったかもしれない。
内村剛介著作集 第5巻: 革命とフォークロア (内村剛介著作集(全7巻))
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