樋口健二『原発崩壊』――この本だけはすごく売れてほしい

まだ刊行前なんですが、担当編集者の方からお話をうかがうかぎり、これは今まさに必要とされている写真集だと思います。
3・11以降、震災+原発震災の写真集は数冊出ていますが、残念ながら「福島第一原発がドカンする前」の写真というのは、ほぼまったく載っていません。いわんや30年前に福島第一原発建設直後からそこで働いていた原発被曝労働者たちの写真&証言なんて、樋口健二さん以外の誰が追っかけていたでしょうか(鎌田慧さんを除く)。すでに再々版された『闇に消される原発被曝者』(八月書館)でも触れられていますが、福島第一原発周辺(浪江町双葉町)在住(当時)の原発被曝労働者(そのほとんどが故人)を丁寧に写真でルポした、壮絶な記録の集大成です。
今回、樋口さんは福島現地に入って撮影なさったとのこと。体調の不安にもかかわらず精力的に取材を続けておられるそのブレない姿勢には心から敬意を表します。この本だけは、すごく売れてほしい。そして粗製濫造のトンデモ原発本の数々を、ドキュメンタリーの迫力で蹴散らしてください!


原発崩壊

原発崩壊