ジェンダーフリーと日本婦道

かなりそそるブログを見つけたので、リンクしますね。
「新しい歴史教科書を作る会」会長&名誉会長コンビが出した「ジェンダーフリー・バッシング本」の面白さ。

ちょうど、戦前の母子教育関係資料を集めているので、刺激を受けました。ついでなので、皇国婦女のたしなみについて、以前書いたものを再掲します〜

一億総特攻のすすめ

『主婦之友』昭和20年7月号

 敗戦直前の昭和20年7月に、『 主婦之友』はまさに狂気としかいいようがない、香ばしい特集を組んでいる。題して「勝利の特攻生活」。なんで「特攻」が勝利なんだよ、なんじゃそりゃ? である。
 物資欠乏のおり、総頁数30頁(昭和15年12月号は328頁)。かつては愛国美人をカラー印刷で飾った表紙はペン画風モノクロとなり、表紙も本文も同じザラ紙に変わった。昭和20年6月に印刷所が空襲で焼かれ、7月号の印刷は静岡新聞に応援を頼んだらしく、本文には新聞活字が使用されている。特集タイトルだけが、カラ元気を振り絞っているようだ。
 内容は宮城タマヨ「敵の本土上陸と婦人の覚悟」を筆頭に、「皇国と共に苦難を突破して」「勝ち抜く壕生活」「焦土菜園の手引き」などタイトルだけ見ても、“おまえはすでに負けている”……完全に押され気味だ。
 「敵の本土上陸、本土決戦は、地の利からも、兵員の上からも……我が方は決して不利ではありません。……一億一人残らず忠誠の結晶となり、男女混成の総特攻隊となって敢闘するならば、皇国の必勝は決して疑ひありません」(宮城タマヨ「敵の本土上陸と婦人の覚悟」)ってアナタ、本土決戦の方が有利だなんて、そんなワケないでしょう。だったら最初から本土決戦でやればいいじゃないスかとつっこみたくもなる。「一億総特攻」で皇国が勝ったとしても、そこには無人の焦土が残されるだけなのに。
 大義に徹すれば火の中、弾の中をもの ともせぬ献身の徳は、肇国以来の日本婦道でございます」(同前)と、およそ非人間的な「献身」を称賛した宮城女史が、昭和22年には、戦後初の女性参議院議員になに食わぬ顔をしておさまっているのには驚いた。
 銃後で婦人の戦争協力を推進した「日本婦道」イデオロギーの体現者としての心性を、彼女は反省したのだろうか。昭和24年「動物虐待防止法案」作りに尽力したらしいが、戦時中総特攻をよびかけて人間虐待に一役買った、自らの過去を問うことはなかったようだ。
 この号の編集後記には、「われわれは勝つことのほかは何も考えてゐません。ほかのことを考える余裕はありません―特攻隊勇士の言葉である。皇国の必勝を信じて、ただまっしぐらに働き、まっしぐらに戦ふ。これが『勝利の特攻生活』である」と、ヤケクソ気味の殴り書きがある。1ヵ月後の8月号で、彼らは一体何と書いたか紹介したいところだが。ともあれこの編集後記が、皇国トンデモ『主婦之友』の事実上の遺言となったのだ。合掌。