すごいぞ 君が代聯盟! その1

君か代聯盟機関誌「君か代」 昭和16年4月3日発行

うわー、すげえモロな団体名! 昭和16年刊行の「君か代聯盟」機関誌『君か代』は、予想にたがわず、全編が香ばしい内容で、この一冊でゴハンが三杯は軽くいけるほどである。
冒頭から青野尊晃・当聯盟会長がブッ飛ばしてくれているものだから、たまらない。青野会長いわく(改行は原文ママ 旧漢字・旧かなは適宜直した)、

天皇の国は永遠である。故に
天皇の国は偉大であり、日本は
天皇の国なるが故に偉大なのである。
天皇の国日本国は
天照大神のご神勅によって偉大なのである。日本紀元は億年兆年を数えるべく、皇統は永遠に窮無く、連綿たるのである。


……最初の3行は、何度も読んでいると脳ミソがしびれてくる。こういうのを当時は「至誠の熱情」とでも表現したのだろうが、今だったら「病院いけ」である。それは戦後になって価値観が変わったからではなく、実は当時から呆れられていたのだが、あの頃は誰も彼を止めなかった、というだけだ。

天皇の御恵は山よりも高く海よりも深い。
日本臣民と生まれた事は、「永遠」に生きるべく生まれたのだ。「永遠の存在」として生まれたのだ。
……(中略)……
天皇の国に生まれる事は、生まれながらに永遠の存在としての誕生である。故にこそ畏れ多くも現つ神に在します 天皇から「赤子」と云ふ御言葉を賜はるのである。


いやあ、日本に生まれて超ラッキーじゃん――としか言いようがありません。

この「君が代聯盟」、単なる狂人の集まりではない。組織の詳細については次回に譲るが、「本聯盟の顧問及び相談役」には

顧 問 貴族院議員男爵 井上清純閣下
相談役 陸軍中将 井上一次閣下
専修大学学長 道家斎一郎先生
検事総長 吉益俊次閣下
男爵 真崎勝次閣下
海軍少将 菊池武夫閣下
東京市教育長 皆川冶廣先生
憲兵隊司令官 持永浅冶閣下


など、なだたるトンデモ名士が名を連ねている。菊池武夫は有名だが、「東京市教育長」もこんな阿呆と一緒に踊っていたとは知らなかった。

さて、件の青野会長は第二論文「太陽は常に中天に在る」でも、青筋たてて言う。

日本人は、現世に於て神国を見、天皇に現つ神を見、人の世と天国とに門なく境なく、神代の最後の神はそのまま人皇第一代であり、現神天皇は民を赤子と云ひ給ひ――国民は神の子である。此の事実は日本精神は全でありキリスト教は部分であり、キリスト教イスラムユダヤ教等は日本精神の一部である事を証明してゐる。
日本は誠に絶対の現れ超三次的存在である。


いやあ、本当に日本に生まれてきてよかったあ――。日本精神ってすげえー。おまけに「超三次的存在」ってのも、すごくトクした気分だ。ぜひ『新しい歴史教科書』『新しい公民教科書』の表紙に、この一文を刷り込んでほしいものだ。そしたらオレも買うよ、多分。(つづく)