国際秘密力とフリーメーソンリー展



朝日新聞昭和18年1月16日付4面広告より

お正月から銀座松屋フリーメーソン展……。主催は毎日新聞社、後援は情報局とある。展示内容が激しく気になる。

米英を操る思想の正体を抉出し国際謀略の思想戦に備へんとす

周知の通り、最近タモ神系の人びとの間で流行っている「コミンテルンの陰謀」論は、実は戦前の反ユダヤ主義を源流に持っている。その辺を体現していたのが故太田龍。太田的トンデモ陰謀論じゃあちとヤバいので、反共もからめて一般向けにアレンジされたのが「コミンテルンの陰謀」論でありましょう。アパの社長が燃えているのは、現代の思想戦を戦っているのだという可哀想な思い込みが彼を突き動かしているからであろう。


ところで、こうした思想戦がらみの展覧会は、デパートの催事場でよくやっていたらしい。この「デパートの思想戦」を誰かが一覧表にすれば、かなり面白い企画になると思うのだが。


ちなみに昭和13年の「思想戦展覧会」@日本橋高島屋 での記録写真が、国立公文書館アジア歴史資料センターのサイトで読めるようになっていた。思想展覧会記録図鑑 *閲覧にはDjVuプラグインが必要。
これが、制作者の意図を超えてすばらしい出来上がりの本なのだ。思想戦展覧会であるからして敵方のプロパガンダの紹介コーナーで、大陸で出版されていた抗日雑誌や毛筆書きの抗日スローガンをはじめ各種伝単類など、細かいものをしつこく紹介しており、もはや手に入らない貴重な資料を総覧できるかなり便利な一冊だ。