『満洲切手』

郵便学者の内藤陽介さんの研究成果については、戦時下の年賀状をはじめいろいろと参考にさせていただいていますが、著書を読むのは初めて。で、角川選書から出ている『満洲切手』を落掌、書店店頭で立ち読みしたら、いきなり切手の世界に引きずり込まれてしまった。満州国建国以前、東三省にあった中華郵政を関東軍がいかにして接収したかをはじめとして、〈切手と国家〉〈切手と支配〉を軸に、瞠目の史実がこれでもかこれでもかと紹介されている。全16章のうちまだ4章までしか読んでないけど、すさまじい充実振りであります。
これは切手の歴史というよりも、日本の中国侵略史そのもの本であります。歴史への入り口が切手のデザインやカバー(=切手と消印が押してある封筒の表書きなんかをこう呼ぶのだそうです)なので、中国現代史にアレルギーがある人でも入りやすいです。刊行されたのは2006年だそうですから、もっと早く知っていればよかったと悔やむコトしきりであります。


満洲切手 (角川選書)

満洲切手 (角川選書)