「幼女の友」のふんどし日本兵


『幼女の友』昭和14年8月号より

日本の兵隊さんは
戦の閑にきれいな川で
水浴やお洗濯をしますが
何よりも一番先に
日の丸の旗をきれいに
お洗濯なさいます。
ここに描いてあるのは
加藤部隊の勇士たちです。

*読みやすくするために漢字+ひらがなに直しました

 なんというか……エグイというかエロい絵柄であります。とくにまん中のヒゲのおじさんが、中腰で手をだらりと下げているあたり、なんかヤらしい感じがします。
 この記事の眼目は「日の丸を大切にしようネ」ということを幼女に訴える、というあたりでしょうか。同時期の「講談社の絵本」や「良い子の友」などには、〈中国の子どもにお菓子をあげる兵隊さん〉か〈青竜刀をふりかざす支那兵をぶち殺す勇猛な兵隊さん〉の2パターンの兵士像がよく提示されていますが、〈フンドシ一丁で日の丸を洗濯する兵隊さん〉の場面をチョイスした編集者は、かなり独特な見識を持っていたのですねぇ。
 それにしても、わざわざこんな小ネタをイラストにおこすほど、わが先祖達は日の丸の扱いについては身につかない人びとだったのだなあ。ともあれ、「ここに描いてあるのは、加藤部隊の勇士たちです」と文中にありますので、きっと何かの資料写真が配信されていて、それをもとにイラストを書き起こしのでしょう。ふんどし&日の丸フェチの妄想的空想絵画ではないと思います。

 『幼女の友』という雑誌については、「幼女の友社」から大正〜昭和にかけて刊行されていたということぐらいしかわかりませんでした。国際子ども図書館にも揃ってないみたいすね。

「幼女の友社」……入社したい大きなお友だちはいっぱいいるのではないでしょうか。