エセ右翼押し売り本の楽しみ

少々古い話題で恐縮だが、エセ右翼本マニアの一人としては見過ごせない記事があった

民主議員の団体名借用、高額本押し売り 都内の出版社
2007年4月3日(火)
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/K2007040202920.html

 民主党の山下八洲夫参院議員(64)が代表を務める政治団体の名前を借りて、東京都内の出版社が、領土や公安問題を扱う高額書籍を脅しまがいの手法で売りさばいていたことが、出版社の内部資料や関係者の証言でわかった。出版社は売り上げから、山下氏の政治団体に印税名目で1億3000万円余を支払っていた。政治団体側は「出版には携わっていないが、名義貸し料として受け取っていた」と授受を認めた。

 この出版社は「エス・ビー・ビー」(東京都北区、柿原邦人社長)。山下氏の団体は「政治経済研究会」(同中央区)。売っていたのは「日本の領土」「自衛隊防大綱」「公安百二十年史」などで、どれも1冊4万円ほどだ。

 朝日新聞が入手したエス社の販売マニュアルなどによると、社員たちは同研究会の「統括理事」などの肩書を名乗って電話で直販していた。

 「我々のようなもんがいきなりお伺いしては、仕事の邪魔になると思いましてな」と職場や自宅に押しかけることを示唆。断ると「領土に関心ないのか、日本人だろ」などと怒鳴ったという。

 買わされた人には、中小企業経営者や中学高校の校長らもいたという。

 研究会は90年代初め、元衆院議員と元国会職員が中心となって設立。山下氏は、かつて秘書を務めたこの元衆院議員がエス社創業者と知り合いだった縁で、代表に就任。03年11月エス社幹部が代表になったが、05年10月に再び山下氏が代表に就いた。

 研究会の政治資金収支報告書などによると、05年までの7年間、「印税」としてエス社から毎年150万〜2500万円前後が支払われた。主にここから研究会の人件費や、千代田区平河町にあった事務所家賃、民主党サポーター会費やパーティー券代などが支出された。

 書籍の一つには、同社の社外監査役である吉永祐介・元検事総長(75)が推薦文を寄せていた。吉永氏は「強引な売り方をしていたとは知らなかった」と言う。

 エス社関係者によると、「印税」支払いは05年で打ち切られたが、現在も同じ手法で販売を続けているという。

 柿原社長によると、エス社は05年12月に「政治・経済研究会」という「・」を加えただけの名称の政治団体平河町の別のビルに設立。その後はこの団体名で出版している。その理由を、柿原社長は「政治家との付き合いに金がかかるので関係を絶ち、新たな団体を作った」と話している。

……この手の話題は、犯罪被害としてはオモテに出ることが多かったが、現役政治家、それも山下八洲夫なんていうウサンクサ系政治屋との関係を暴いた朝日新聞記者はいい仕事をしていると思う。
しかし! エセ右翼本は値段こそボッタくりでどうしようもなく犯罪的だが、その内容は意外と面白いのですよ。
以前、「靖国神社本は儲かるか? 」というエントリーにも書いたのだが、分厚いだけあって内容はかなり充実している。知人のエセ右翼本マニアの師匠が、こういうアヤシゲな団体に直接でっち上げの檄文を送りつけて相手に感銘を与え、タダで十数冊を宅急便で送らせ、それを小生と二人でニヤニヤしながら一日かけて鑑賞会をやったことがある。どの本も巻頭と巻末にナントカ団体のおやじが精一杯気合いの入った作文を寄せているのが目に付くぐらいで、その他のページは超豪華版高校政治経済資料集の風情。こういう本は下請けの編プロがついついがんばっちゃうようで、なかなか使えるのであります。
とくに当該記事に出てくるエス・ビー・ビー社の刊行目録を見ると、
アルチュセールの<イデオロギー論>』
フーコーの<全体的のものと個的なもの>』
なんて出していて、どう見ても元×翼な人だったりするし。
この版元がどうしてエセ右翼本商売に手を出したのか、そこにはふかーい闇があるのでしょうから、そのへんは山下八洲夫を締め上げてドロを吐かせるべきでしょう。
しかし、古本屋の店頭でエセ右翼本を見たら買い!です。だいたい定価が3万〜4万しますから、その定価の5%〜6%になっていたら迷うことなく買いですね。  

もちろん、電話セールスはすぐに断るべし、ですが。


追加:この趣味にご興味を抱かれたかたは、まずこのページをご覧になってから手を出した方がよろしいかとおもいます。