異形の天皇

年末から年始にかけて読んでいたのは……

異形の王権 (平凡社ライブラリー)

異形の王権 (平凡社ライブラリー)

北畠親房―大日本は神国なり (ミネルヴァ日本評伝選)

北畠親房―大日本は神国なり (ミネルヴァ日本評伝選)

神皇正統記 (岩波文庫)

神皇正統記 (岩波文庫)

修験道史研究 (東洋文庫 211)

修験道史研究 (東洋文庫 211)

……の4冊。すっかり後醍醐天皇にはまった。足利尊氏の「逆賊」ぶりもある意味ですさまじい偉業。『神皇正統記』も「日本=神国論」の親分としてwktkしながら読んだんだけど、岡野本で時代背景とか政治的力関係を教えてもらって、やっぱり権力闘争のための武器として書かれた、“もうひとつの歴史”(偽史とまでは言わない)なんだと実感。南北朝のドロドロぶりは、高校日本語学級の日本史の授業ではほとんど習わなかったから、いっそう新鮮でありました。
ちょうどid:y_arimさんの「個人的に「天皇はいらない!」と思う理由」というエントリにつけられたブコメで、〈天皇〉という制度に対して現代の臣民はけっこうサブライムなものを感じていることに驚いた。そんなにありがたいかねえ。

他方、和歌森先生の『修験道史研究』は、昭和17年に出た本とは思えないほどゴリゴリ皇国史観から遠く、かつ面白かった。著者は「手を加えていない」といっているから、多分そうなのでしょう。これと網野本を合わせて読むと、今度は

兵法秘術一巻書・〓〓内伝金烏玉兎集・職人由来書 (日本古典偽書叢刊)

兵法秘術一巻書・〓〓内伝金烏玉兎集・職人由来書 (日本古典偽書叢刊)

に収められている「職人由来書」とかを無性に渉猟したくなる。結局、これも天皇に源を発する偽書偽史なんだよなあ。
神国日本は本当におもしろいところだ。