北原白秋「東條さん」に出てくるガソリンスタンドについて

朱描きでペガサス描いてある。
ガソリンスタンド、雪のあさ。
「お早う、内儀さん、お寒いね。」
お馬で声かけ、とつとつと
みんなの宰相ほがらかだ。

twitterでフォローしていただいている@tokoyoさんがつぶやいた疑問

朱書きのペガサスはモービル石油のマークだが、米資本接収後、社名は変わってもマークは変えられないままだったのだろうか?

に関心をもって、手許にある北原白秋大東亜戦争少國民詩集』を見てみると、残念ながら「朱書きのペガサス」は挿絵にのってませんでした。


 現モービル石油は当時の「スタンヴァック(スタンダード・ヴァキューム石油)株式会社」。念のためアジ歴で調べてみると、大東亜戦争関係一件/敵国財産管理並権益接収関係/敵産管理委員会 第一巻という資料が出てきた(閲覧にはDjvuプラグインが必要です)。
 この資料の6頁目に「(敵産)管理人選任ニ関スル件」という記事があって、日米開戦にともなって同社が接収された後、長年同社に勤務していた森田半右衛門支配人が同社を管理人として引き継いだ、との記録がある。
 さらに同資料16頁以降に、同社ならびに系列のスタンダード船舶株式会社の資産/負債の一覧表があった。ただし、(このあたりはまったく明るくないのだけれど)ガソリンスタンド・石油小売所についての記述はない。
 敵産資本接収にともなってスタンバックが解体された後、各地の小売業者がすでに「ペガサスガソリン」として親しまれていた同社の商標をどうしたのだろうか。この資料だけではわからなかった。ガソリンスタンドの歴史に詳しい方のご教示を待ちたい。