飛行機で捕虜捕獲はいかがでせう

『家の光』昭和12年11月号より


なんというか「飛行機をナメとんのか」画像であります。投網をどうやって閉じるのか、どうして人間が網にかかるのか。技術的には大きな問題があると思います。お約束ですが。

このマンガのネタは読者の投稿によるものだそうです。ジャンルとしては〈ユーモア必勝法〉とでも言うのでしょうか。今から見れば、このマンガも何が面白いのかさっぱりわからりません。もちろん、趣味者的にはそこが面白いから目にとまったわけであります。

相手をナメてかかる、もしくは間抜けな弱敵として描き出すのはプロパガンダとしてどのくらい有効であったのか、またまた考え込んでしまいました。山中恒さんの『ボクら少国民』シリーズを読むと、「大東亜戦争」末期まで、戦争は海の向こうで起こっていることで、「内地は平和であった」とあります。「支那軍の暴戻を膺懲し以て南京政府の反省を促す」暴戻支那膺懲というのが昭和12年8月15日のかの有名な政府声明のトーンでしたから、アホで間抜けで弱い支那軍をコテンパンにやっつけろ、というのが戦争に人民を動員するにあたっての政府の基本トーンであったのかもしれません。

こうした敵をナメてかかるパターンは、米英を相手にした総力戦における戦時動員プロパガンダではまったく影を潜めます。