「精神分裂病における妄想主題の時代的変遷について」藤森英之

精神神経学雑誌 第80巻12号 を落掌。
明治から昭和にかけての巣鴨病院・松沢病院のカルテから、誇大妄想の症例を集め、その妄想主題を統計的に整理した大変興味深い論文。
紹介されている憑依症例に、

至誠は何を意味するか。至は一、ム、土と書く。一は地平線であり、地の印。ムは屋根の形、その中心に至誠が存在する。即ち土から出て土に還る。人間は誰しも結局すべて土に還る。

霊は零(れい)である。ゼロだ。霊は死生(至誠?)がない。だから日本3000年の君主国は朝日の日の丸だ。僕はこの日本精神、皇道精神、君国のために自分の躬を調べているのだ……」(男、29歳、官吏(鉄道省勤務)、昭和9年入院)

というのがあり、戦時下の神道ナショナリスト超国家主義オカルティストの言霊言説とそっくりなことに驚く。