朝日新聞昭和17年1月5日


朝日新聞昭和17年1月5日付 クリックすれば拡大してみることができます。

 昭和17年のお正月から連日書籍広告は続いています。
 この日のものでは池田宣政ヒットラー』と『豊臣秀吉』がならんでいるあたりはわかりやすいですね。古本屋でもよく見かける本です。また、第一書房戦時体制版で、浅野晃と土田杏村が仲良く並んでいるのも、これまた趣を感じます。第一書房の書名が書き文字の凸版になっていますが、サンヤツの規制が厳しい今日から見るとちょいとびっくりであります。化学主義工業社の漢字ばっかりタイトル、とくに『生産青年手帳』とかカッコイイですねー。サンヤツのデザインとしても秀逸です。
 ――とはいうものの、あまり欲しい!読みたい!という食指は動きません。……が、唯一、これは見つけたら買い!と思ったのが、東京商工会議所編『臨戦体制下の商業者問題』(大日本出版株式会社刊)でしょう!
 広告のコピーには

商業者問題は常に其動態を把握しなければならぬ。東京商工会議所が大東亜総力戦の花形たる商業人五百万の業態を俎上にして、関係当局・学界・業界有識者の論策及講述を編纂した業者必備の指針

と、なんだかモヤモヤとした期待をもたせています。実は、国会図書館にはこの本があるのですが、たぶんデジタル化の作業中なんですね、今は見れません。
NACSISで探すと、目次がアップされていました。

現下の國際情勢と我國經濟の動向 / 太田正孝著
現下中小商業者問題の歸趨 / 堀義臣著
配給機構整備問題 / 岡田武彦著
商店經營合理化の諸問題 / 深見義一著
商業者の轉廢業對策 / 吉田政雄著
中小商業者の企業合同 / 稻川宮雄著
商店經營合理化の實際 / 田中要人著
價格統制と商業利潤問題 / 本位田祥男
現下の商店從業員對策 / 井上貞藏著
商業報國運動について / 半谷眞武著
國民更正金庫の機構及使命 / 吉松亭三郎著
經營方策の轉換と業者の覺悟 / 淺谷長輔著

 この目次を見るだけでも、中小の商店主の間には「大東亜戦争」開戦と同時にすさまじい衝撃が走ったことがうかがえます。物資統制や価格統制への対処、また配給への対応はどうするか、さらに応召による深刻な人手不足、企業整備(企業合同)や男子就労禁止措置などなど、小経営の前途はけっこう暗い。少なくともヤバイ・どうする!という空気は流れていたのであろうということが読み取れますよね。
 本位田祥男(元東京帝大教授、元大政翼賛会経済政策部長)の「價格統制と商業利潤問題」はぜひ読んでみたいっす。