ロリ系皇軍慰問絵はがき

戦時下、慰問系商品とも呼びうる紙くずの一群があって、「慰問」「皇軍慰問」と名前がつけばかなり何でもアリな印刷物が多数で廻っていた。クレジットもなにもかもでたらめなパチもんの大衆読み物や、慰問袋からとりだしたとたんにゴミと化すマスコット人形の類など挙げればきりがない。戦時下の印刷屋さんの営業努力のたまものと見るべきか、大して投資もせずに儲かるボロい商売と見るべきか、はたまた終戦直後のカストリ雑誌群簇生の土壌を形成したものなのか、いろいろと見方はあるだろうが、そんなことまで守備範囲を拡げるのは御免蒙りたいばかりである。
で、慰問絵はがきにしぼっていろいろと探求してみると、やはり美人画が多い。なかでも、今回紹介する松本盛昌画「皇軍慰問絵葉書」は、同種の絵葉書の中でもとりわけてかわゆいので驚いた。

【1】セーラー服女学生

【2】若妻だよねこれは

【3】島田の若妻

【4】草刈り女学生

【5】テニスのお嬢様

【6】牧場の少女でしょうね

【7】ハイキングの女学生でしょう

【8】流し目女学生

だいたい、慰問絵葉書の美人画は、セットの組方からして熟女系〜女学生系、それから農漁村女性・都市部の女性がバランスよく織り込まれているのが一般的なのだ……が、このセットはどうも〈女学生〉に重点があって、なんだか欲情がかきたてられますなあ。ロリ系直球勝負でずいぶんとエロい感じがする。【5】とか【7】とか【8】とか、萌え萌えです。さすが抒情画の大家・松本画伯だ、といってしまえばそれまでなのだが、この類の慰問絵葉書はどのように活用されたのだろうか。きっと、女学生用・若い女性が出すときに使った慰問ハガキなんだろうな。で、かわゆい絵の部分と、差出人の女名前が、戦塵にまみれた兵士たちの妄想をかき立てて……みたいなカラクリではなかったか。もしかして、オカズとしても使われてたのかなあ。