帝国の算数【大東亜気候編】

第五期国定教科書「初等科算数」八より

【大東亜】 上の図でどんなことがわかるか

……そんなことを言われても困る……。いったいこの問題の出題意図は何なのかよくわからないので、ひたすら途方にくれてしまうのだが、案外と深いものがあるのかもしれない。

たとえば同教科書には、
【イロイロナ問題】
400人の歩兵が、幅60米の川を25人乗りの舟4艘で渡るには、時間がどれだけかかるか。舟は往復ともに毎秒1米進み、兵が舟に乗りこむのに2分、舟からあがるのに1分かかる。

――のような、いかにも「軍国調」「戦時色」まるだしの文章題があって(これはこれで面白いのだが)、「ああ、算数も軍事教材であったのだ」という比較的わかりやすい観察に終始できるのである。

「昭南」「新京」などマボロシの地名が出てくるこのグラフ、一体子どもたちに何を読み取らせようとしたのであろうか。