瀬古は日の丸で泣く

マジでこんな人がいたとはオドロキ。というか、東京都教育委員会に正気のヤツはいないのか?

2008/01/09-16:14 国旗国歌「泣かない人考えられない」=都教育委員辞令交付で瀬古氏
 東京都教育委員に昨年末就任した男子マラソン元五輪代表の瀬古利彦氏に9日、石原慎太郎都知事が辞令交付した。瀬古氏は交付式後記者団の質問に答え、都教委が入学式などで国旗掲揚と国歌斉唱を義務付ける通達を出していることについて「個人としては、日の丸を見たら涙がいつも出てくる。日の丸を見て国歌を聞いて泣かない人は私には考えられない」と述べた。
 都内の公立学校では2003年の通達に基づく校長の職務命令を拒否し、減給などの懲戒処分を受けた教職員が延べ388人に上っている。
 瀬古氏自身は過去の五輪で国旗国歌への愛着を深めたと説明した上で、職務命令を拒否する教職員について、「オリンピックに連れて行き、日の丸が揚がる姿を見てもらいたい。そうしたら変わります」と語った。(了)
http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2008010900624&m=rss

戦前にもこういう人がいたことが記録に残っている。以前、別の所に書いた記事を再掲する。

ああお母さん、日本の旗が!

「事ある毎に、渡された『日の丸』の紙旗を打ち振りつつ、喜々として群がる小学児童を見る時、我々には、思わず感激の涙さえ湧き出でる。童心にも、深く意義づけられる簡明率直な『日の丸』我等は実に良き国旗を持ったと賛嘆する。
純白の生地に、燃ゆる深紅の赤い丸。清楚で、ほとばしる熱と意気を具現し、直截簡明に表現する国民的感情、これほど表現の妙を得た偉大なる芸術は又とあろうか」
『日の丸読本』東京日々新聞社・大阪毎日新聞社 昭和12年より

日の丸を振っているのを見ると、思わず「涙がでちゃう」人が戦前にはいたようだ。これはもう病気である。
この小冊子は紀元2600年をひかえて数多く出版された国体明徴ものの一冊。東京日々新聞は現在の毎日新聞の前身で、定価は30銭。全118頁にわたって、「日の丸」の由来・扱い方から、「日の丸」にまつわる愛国美談を掲載している。
明治維新の「錦の御旗」から日清・日露そして満州事変まで、「日の丸」「軍艦旗」「連隊旗」など、とにかく「旗」を守るために兵隊さんがどれほど命をかけてきたのかを、数え切れないほど些細なエピソードをくりだしてえんえんと説教する。
たとえば、上海事変当時、海軍陸戦隊がやってきたのを見た残留邦人の「感激」を、当時の小学生が作文に綴っている――と紹介されている

「ああお母さん、日本の旗が」
「三千雄、もう大丈夫です」
「大丈夫ですとも、お母さん」
僕は涙がこみ上げてきて、日章旗が見えなくなった。救われた嬉しさの涙ではない、たとひこれから、どんな支那兵に苦しまされようとも、この日章旗となら、苦しまう。日の丸の旗の下で死なう、さう思った時に日本人だけの味ふことの出来る涙だったのだ。

――そもそも母子の会話がクサすぎるので、ほぼ創作ではないかと思われる。それにしても、かなーりマゾヒスティックな涙ですな……。

また銃後でも「日の丸」にまつわるこんな悲劇があったそうだ。

昭和11年2月11日……午前7時頃芝区高輪北町付近で品川を発した浅草行きの市営バスが疾駆してゐる時、前方に掲げた国旗が道に落ちたのを女車掌梅澤ユキ子さん(20)が矢庭に飛降りてそれを拾はうとするととたんに反対側から疾走して来たトラックに刎ね飛ばされ頭部を強打されて遂に死亡した痛ましい事件があった。」
「それが一度新聞紙上に報ぜられると皇道詩吟之会師範本山賢一氏はこれを詩に、又旭潮会の荒巻輝鳳氏はこれを琵琶歌に織り込んでその美事を讃え……国旗博士と云はるる松波博士も黙してゐやう筈はなく、博士は自ら筆を執って「日の丸美談」のシナリオを作り大阪の教育映画製作所に依頼して16ミリ映画を作り永遠にその行為は銀幕に残されたのであった。これこそ平時の市井に死守された国旗美談と云ふべきである」

――前半の事件はまさしく悲劇だが、後半はこんなバカどもによって「美談」が製造されるのかということがよくわかる。何だよ、「国旗博士」ってーのは。ある女性車掌個人の死が「日の丸美談」とされ、国家の「物語」に編み込まれてゆくこの恐ろしさを見よ!

東中野修道の呪い

ようやく日本に帰ってきてから雑用に追われていたが、夜中にこんなニュースが飛び込んできた。

東中野修道センセイの大著『南京事件――国民党極秘文書から読み解く』を出した草思社がつぶれた。

草思社民事再生法適用申請 負債総額22億5千万円

2008年01月09日21時43分

 日本語ブームを巻き起こした「声に出して読みたい日本語」などで知られる中堅出版社の草思社(東京都文京区、木谷東男社長)が9日、東京地裁民事再生法の適用を申請した。負債総額は22億4789万円。複数の企業が支援を表明しており、事業は継続する方針。出版市場は90年代半ばから縮小を続けており、多くのベストセラーを生み出してきた中堅出版社の民事再生法申請は、出版不況の象徴といえそうだ。

 同社によると、長引く出版不況で売り上げが低迷し、有利子負債が経営を圧迫、支援企業の下で再建を目指すことにした。店頭で書籍は購入できるという。2月中をメドに再建計画を詰め、3〜4月に再スタートを切りたいという。同社の出版事業は最盛期の97年には31億9000万円の売り上げがあったが、昨年は13億6000万円に落ち込んでいた。

 草思社は68年創立。個性的なネーミングで知られ、「間違いだらけのクルマ選び」を始め、「清貧の思想」「平気でうそをつく人たち」「他人をほめる人、けなす人」などのベストセラーを生み出してきた。

 堅実な経営で知られた出版社の再生法申請に、業界の衝撃は大きい。出版ニュース社によると、06年の書籍の実売金額は96年から900億円減の1兆円程度に落ち込み、返品率は40%程度で高止まりしている。業界関係者は「草思社はベストセラーを出す力がある出版社。出版不況もここまで来たかという思いだ」と衝撃を受けている。

http://www.asahi.com/business/update/0109/TKY200801090298.html

はっきり言いましょう。これは東中野修道の呪いです。
『平気でうそをつく人たち』を出した版元が、平気でうそをつく人の本を出したのが運のツキだったのですね。