樋口健二さんの書籍を今すぐ再版すべき

知り合いの書店員さんから電話がかかってきた。「原発問題でフェアをやろうと思うんだが、読み物というよりも目で見てわかるようなものないかな?」。
迷わず、樋口健二さんの写真集を推薦した。私、この人のファンなんです。で、この機会に調べてみると、この不世出のフォト・ジャーナリストの作品は、入手するのが難しくなっていることがわかった。


今、手に入るもの

樋口健二報道写真集成―日本列島’66‐’05

樋口健二報道写真集成―日本列島’66‐’05

私も持っています。著者の40年にわたる活動を集大成した一冊で、もちろん原発原発被曝労働者・核燃料再処理工場それから原発建設予定地の写真まで入っています。その他にも四日市公害とか毒ガス島とか。写真で見る戦後日本人間破壊史ですね。


はじまりの場所―日本の沸点

はじまりの場所―日本の沸点

上の『報道写真集成』と一緒に買ったのがこれ。東海村JCO事故で被曝した大泉さんの写真とインタビューは痛切だ。そのレポートのあとに、東海村の日本原電東海発電所に就職活動にきた高校生を撮った写真が。原発をバックにしたこの写真のほうがショッキングだった。それにしても、前回エントリーの『福本和夫著作集』といい、「こぶし書房」って本当に売れそうもない本を出してきたんだな。


手に入らないもの

ここからが本題。


闇に消される原発被曝者

闇に消される原発被曝者

この本こそが、今求められている。原発被曝労働者ひとりひとりに丹念にインタビューを重ねて、原発内ではどんな仕事をやっているのかを執念で明らかにした本。今Youtubeで話題の「隠された被爆労働〜日本の原発労働者 」(イギリス・チャンネル4制作)の元になった本。かつて三一書房から出ていたが御茶の水書房が復刊――したのはまことによかったが、しばらくすると品切れ重版未定にしたままとはこれいかに。すぐさま再版すべきダ! と声を大にして言いたい。


これが原発だ―カメラがとらえた被曝者 (岩波ジュニア新書)

これが原発だ―カメラがとらえた被曝者 (岩波ジュニア新書)

岩波ジュニア新書だけあって、この本がいちばん読みやすい。しかし!品切れ。天下の岩波書店なのだから、どうしてこれを重版しないのか。岩波書店電凸したら「弊社には絶版という概念がありません」だとぬかしやがる。かくも長きに亘って品切れ状態なのは事実上の絶版と同じだろ! 今もっとも必要とされているのですので、ぜひ重版をお願いします(猫なで声で)。


原発 1973年~1995年―樋口健二写真集

原発 1973年~1995年―樋口健二写真集

今は亡き(?)三一書房から出ていた、樋口さんの原発の仕事を集大成した写真集。この本も、オリジン出版センターから三一書房へと、2度の版元倒産に見舞われて転々としたかわいそうな本。で、この写真集が全国の原発(ならびに建設予定地)を廻って、そこに生きる人々の声とともに写真を編んだ希有な作品。


売れない写真家になるには (1983年)

売れない写真家になるには (1983年)

まだ編集の仕事がなくて、ベビー服の値札付の内職ばかりをやっていた頃にこの本に出会って、発奮しました。原発の写真は売れない、だけど誰かが記録しなければならない――この鬼気迫る樋口さんの気迫に惚れた。八月書館は原発関連書籍の老舗だが、amazonでもジュンク堂でも手に入らなくなっているのを、即刻なんとかすべきダ。