バッドテイスト☆ニッポン

ナンシー関は漠然と日本人の心性に隠れるバッドテイストなものをヤンキーとしていたにすぎない。つまり消費における趣味趣向の問題として「ヤンキー」と呼んでいたのであって、それが社会階層に紐付いているのか、文化資本的なものなのかなど、一切具体的には言及しない(彼女はコラムニストであり、社会学者ではないので問題ではないのだが)。

速水健朗
http://www.cyzo.com/2009/06/post_2173.html

速水氏の論評などどうでもよいのだが、故ナンシー関の炯眼にあらためて驚く。
そういえば、95年に出た『ユリイカ』臨時増刊「悪趣味大全」に、日本的バッドテイストの精緻な一覧表が載っていたのを思い出した。
この世界はなかなか奥が深いので、なるべくはまらないようにしないと、都築響一さんのようにもはや後戻りが出来ない世界にイッてしまう。



よく考えてみると、高校の日本語学級で知り合った中国残留日本人孤児の息子が、カバンに『八紘一宇』とか『大和魂』といったゾク御用達系ステッカーをデカデカと貼り付けていたのに驚嘆したのが、大日本帝国へ関心を持ったそもそもの発端。私の集めている戦時下の紙くずのたぐいも、武士道協会や大便教会への偏愛も、BAD好きの文脈に回収されても全くおかしくないワケだ。嗚呼おそるべし日本のヤンキー文化。