出会うのが遅すぎたバラードの『クラッシュ』

J・G・バラードの『クラッシュ』が創元SF文庫になっていた……とは知らなかった。偶然書店の棚で発見し、即購入。自動車事故にオルガズムを感じるド変態様の話なのだが、次から次へと繰り出される、血と精液と機械とオイルが一体となって醸し出すかなりエロいイメージが強烈で、大変にコーフンいたしました。このスピード感と残虐嗜好は……そうだな、バロウズの『ワイルド・ボーイズ』級のものすごさであります。ペヨトル版は92年に出ていたんですね。でもその頃手に入れていても、まだ日本語がよく読めなかったからこんなにコーフンしなかったと思う。
昔、浅田彰とか四方田犬彦たちが出していた『GS』(第2期:UPU)の「戦争機械」号に、バロウズの『ワイルド〜』の抄訳と、バラードのエッセイを並んで載せた編集者の手腕の凄さがようやくわかりました。ちなみに同誌では、ヴィリリオバロウズ、バラード、ジュネというすさまじい偉人が一堂に会しているので、見つけたら買った方が良いです。


クラッシュ (創元SF文庫)

クラッシュ (創元SF文庫)

猛者(ワイルド・ボーイズ)―死者の書

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