みなさんの敵はだれですか

岡山県教育会編纂『ナツノクラシ』昭和17年7月刊

なかなか戦時下の夏休み宿題帳は手に入らないのですが、ひさびさに面白いものが見つかったのでアップします。
表紙はめちゃくちゃ版ズレしていてじっと見ていると酔いそうです。南の島の「土人」が日の丸を振って日本の兵隊さんを迎えている模様ですが、右隣に学帽をかぶった男の子とおかっぱの女の子が配されています。このように配置されることでこれを見る子どもが、画面に共感する度合いを高めることを計算されているように思えます。
この「ナツノクラシ」は国民学校初等科一年用。まだ一年生なので、こんな記述もありますね。


「勉強兵隊」と呼ばれちゃう子どもというのもかなり可哀想ですが、肝心の「勉強兵隊」が夏休み中に時に気をつけることは「アマエヌヤウニ」なのが可笑しい。


かなり直截な質問と答えですが、せっかく地図にオーストラリアが載っているのに、この子は華麗にスルーしています。
アメリカ・オランダ・イギリス」という「敵」の並び順も、ああ昭和17年だなあ、と感じますねえ。


まだ生まれて6年しかたっていないのに、もう皇国学徒としての本分を叩き込まれ、大御心に生きかつ死ぬことの出来る死生観をたたき込まれようとしています。嗚呼。