世界総力戦 (世界創造社 昭和14年)

そのスジでは有名なトンデモ出版社 世界創造社の一冊。


国家総力戦。それは、国家の総力、武力、政治力、経済力、学問、芸術の諸力を、戦争目的に向つて動員し、戦争の果敢なる遂行を可能ならしめると共に、直に文化の新しき発展を必然ならしめる。まことに、戦争は文化にして、文化は大いなる戦争である。

冒頭はそれなりに格調高い総力戦宣言で、まあ遅れてきた日本版未来派といったところか。
ところが後半になると、グズグズのトンデモ世界征服論へと“転進”する。

日本忠霊圏の建設
古よりわが民族の海外発展は常に盛に行われ、話が忠霊の眠る地点を世界地図の上に辿れば、殆んど全世界を覆いつくすの観がある。而して、全世界に亘る我が忠霊の分布の状態は、即ち、我が日本世界建設の方向を指示するものであり、之等貴き英霊を人柱として、茲に日本世界は、輝かしく打ちたてられなければならない。

「全世界に亘る我が忠霊の分布の状態は、即ち、我が日本世界建設の方向を指示するもの」というすさまじい電波的八紘一宇論には心底たまげた。そもそも「日本世界」というカテゴリーからしてヘン。


巻末にあった広告。雑誌「戦争文化」(!)