『日本人の偉さの研究』 中山忠直著 章華社版 昭和8年

中山忠直といえば、戦前SFの極北、SF詩『地球を弔う』で有名だが、彼の漢方研究や日猶同祖論の影に隠れたトンデモ本である本書を、まさか手に入れられるとは思っても見なかった。もうタイトルだけでおなかいっぱいである。

で、今回の新発見は、最後の甲賀流忍者・藤田西湖と友達だったということ。
本書の巻末に、付録としてつけられた「忍術は科学戦法」(このタイトルも香ばしい)に、忍者の実例として友人・藤田君のすごいところが多々述べられている。

同君はコップを食い、煉瓦を食うので、歯が如何に強いかは、天井のサンを歯でぐっとくわえて、三十分位はぶら下り得るのである。壁や天井をはい歩けるのでその握力の強い事、親指と食指で人の指をつまむと、釘ぬきではさまれる様である。
猫イラズを飲み、硝酸をのみ、硝子を食い自動車を腹の上に走らせ、畳針を三百本近くも体にさす事はまさに現代医学から見ても奇蹟である。
……同胞よ日本を強くしようではないか。日本人種が世界一の神の選民である事を、強く自覚しようではないか。(昭和五年三月報知新聞所載)

藤田氏のスゴいところはここにとどまらないのだが、入力が面倒なので割愛。藤田氏のスゴさから、神の選民としての日本人のスゴさにつなげるあたりは、文字通り中山先生の神業であろう。


最後の忍者どろんろん (新風舎文庫)

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